優しいカレの切ない隠し事
「あ、はい。ありがとうございます…」
拍子抜けのわたしに、圭介は仕事を続けた。
距離を置こうと提案したのはわたしだし、この様子だとそれを受け入れてくれたんだと思う。
だけど、昨日の今日で、こんなに割り切れるものなんだ…。
ちょっと複雑。
身を翻しデスクに戻ったわたしに、栞里さんが体を近付けてきた。
「陽菜ちゃん、課長と何かあったの?なんだか、二人とも様子がへんじゃない?」
またそれか。
「栞里さんは、よくわたしたちの変化に気付かれるんですね?何でですか?」
言っちゃった、嫌味を。
だけど、いい加減鬱陶しい。
栞里さんのこれみよがしな心配が。
そんなに心配するなら、最初から圭介とキスなんてしないでよ。
すがらないでよ。
二人きりにならないでよ。