優しいカレの切ない隠し事


何?

二人の会話の意味は何なの?

絶句するわたしは、二人を引き離すことも、この場から立ち去ることも出来ない。

ただ、立ち尽くすだけだった。

「本当に?わたしね、圭介に顔向け出来ないことは分かってる。だけど、本当に圭介を誰よりも応援してる気持ちは変わらないの」

「本当にいいんだって。分かってるから。それより、栞里がミスなんて珍しいじゃないか?涼太と何かあったのか?」

圭介は、栞里さんを抱きしめたままだ。

栞里さんも、圭介の胸に顔を埋めているけど、それがあまりに自然過ぎて、胸がチクチク痛む。

どうして二人は離れないの?

何で、圭介は栞里さんを抱きしめたまま、涼太さんとの仲を心配するのよ。

そんなの変じゃない。

「涼太…今はわたしの事どころじゃないから」

寂しそうな声を出す栞里さんに、たまらなく苛立ちを感じてしまった。
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