優しいカレの切ない隠し事


それが挑発的な言い方だと分かっているけれど、あの日以来、わたしたちは会社以外で会うことも話しをすることもなく、苛立ちは頂点に達していた。

どうして、わたしを信じてくれないの?

どうして、今の状況を変えようとしてくれないの?

わたしと気まずいままで、圭介は平気なの?

「じゃあ、もしお前が大きなミスをしたらどうする?」

「え?」

圭介はデスクで冷たい視線を向けたまま、わたしを見上げている。

「それは、どういう意味ですか?わたしのミスが課長の足を引っ張るとでも?」

それなら、栞里さんの時みたいにフォローをしてよ。

足なんか引っ張ってないって言ってよ…。

「その通りだ。お前も知ってるだろ?オレは、いずれ海外事業部に異動になりたいんだよ。お前に足を引っ張られては困る」
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