右隣の彼
私は今どんな顔をしているのだろう。
そういえばあっこが付き合って半年の彼と結婚宣言をした時に

『は・・半年?そんな・・・本当にそれでいいの?』っていったっけ・・・
でもあっこは自信たっぷりに
『運命の相手なんて意外と近くにいるもんよ。直感を信じてみなさい!』
あの時は正直他人事のように思ってたけど
今の私ってあっこたちよりも付き合いが短い!
岸田くんは知り合った年数を足せば年単位だっていってるけどね・・・

「直感か~」
あの時の事を思い出し口から出てしまった言葉に岸田くんが反応した。
「俺は直感したよ。一美と初めて会った時にこの人と俺は運命を共にするんだってね」
言われてることは嬉しい。
でも余りにも臭いセリフに吹き出しそうになった私の肩を岸田くんが引き寄せた。

「ムードが欲しいなら何度だってプロポーズするよ。もっと夜景の綺麗なとことか
花束が欲しいなら用意する。だけど・・・とりあえず先に返事聞かせてよ。
結婚しよう・・・一美さん」

今になってあっこの気持ちがわかったような気がする。
勢いなんかじゃない。
この人だっていう直感が大事なんだ。
岸田くんと結婚したくなければここまで悩んだりしなかったはず。

だったら答えは決まってる。
私は岸田くんの目を見つめて答えた。

「よろしくお願いします」

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