右隣の彼
コーヒーショップにつくと岸田君を探す。
奥のゆったりとくつろげそうなイスに座って本を読んでいる岸田君を
発見した。
長い足を組んで少しだけ首を左にかた向けながら真剣に
本を読む姿にドキッとしてしまった。

なにドキドキしてんのよ!
心の中で自分に突っ込みを入れながら岸田君の近くまで行った。
「お待たせ」
岸田君は今の姿勢を崩すことなく視線だけが私を捉えた。

「あっ!先輩。すみません、あと2分待っててもらえますか
きりのいいところで辞めるんで。」
そう言って岸田君は視線を本に戻した。
私は岸田君と向き合うイスの座った。

やっぱりここのイスって座り心地いいわ・・・
2分と言わず20分くらい読んでていいよ~~って気分になる。

「・・・・輩・・・先輩」
「ん・・んん・・・」
「・・ったく・・・こうなったら・・」


「い・・いらい(痛い)!」
岸田くんの顔がめっちゃくちゃ近くにある・・だけど痛い!
「よだれ出てましたよ」
その言葉で自分が眠ってしまっていたことに気付いた。
そして私を起こすために私の両方のほっぺをつかまれていた。

そしてよだれと言う単語に思いっきり反応してしまった私は
ほっぺたを引っ張られているのにも関わらずよだれがまだ口の横に
ついていないかを確認。

岸田君はというと眉をハの字にして緩い笑いを浮かべていた。
「私って寝てたの?」
私の問いかけに岸田君は露骨に顔を歪めた。

「先輩憶えてないの?」
「・・・うん」
「きりのいいところまで読み終えて先輩見たら寝てるし・・・
 2分で寝ちゃえるってある意味才能ですよね。
 しかも爆睡で・・・襲う気も失せました」
「お・・・襲う気?」
何言ってんだこいつ。涼しい顔して言う事怖すぎなんですけど
「でもさすがにここでキスしても、先輩気付きもしないんだろうな
って思ったら面白くなくなって・・・起こしました」

おいおい・・・
キスしようとしたとか
気付かないと面白くないよとか
そう言うの私に言うんじゃなくて普通彼女に言うもんでしょ?
どうなんてんの?
しかも久しぶりにドキドキしちゃってる私もどうかしてるよ。

うまく言葉が見つからずただただあわあわしていると、
ニヤリと笑った岸田くんが私を見たがら立ちあがった。
「さ~~。目も冷めた所で行きましょうか!」
「行くって何処へ?」
「それはまだナイショ!夜はまだまだ長いですから
覚悟してくださいね」

何をどうか覚悟すりゃいいのよ~~~!!!



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