右隣の彼
「…うん…ったく邪魔すんなよな。すっげーいいところだったのに…」
ちょ・・ちょっとそんな言い方したら何をしてたかわかっちゃうじゃないの
下唇を噛み岸田君を睨むと、岸田君はざまあみろと口だけ動かした。

こんなことならもうちょっと焦らせばよかったかと思った。
「…ああ~いつものとこね。わかったよ…わかってるって…うん。ありがとう。
 ああ!義姉さんのこと怒るなよ。あれは俺が悪いんだからさ・・・ああ・・じゃあ」

岸田君は電話を切ると腰を浮かせスマホをジーンズの後ろポケットにしまった。
さっきまでのいい雰囲気が電話で一時停止と言うよりは
興が醒めたと言った方がよさそうな空気だった。

「岸田君・・・電話ってやっぱりお兄さん?」
「・・・うん」
え?もしかして機嫌悪い?
ムードを途中でブチ壊す様な感じだったしね・・・
岸田君は怒っているのかいないのかわからない表情で
立ちあがると出口の方へと向かった。
「え?岸田・・・・?」
まさか私一人また留守番とか?
「なーに突っ立ってんの?行くよ?」
岸田君は私に手を差し出した。
「え?どこに?」
「一美はここだと落ち着かないんだよね。兄貴から鍵を閉めておいてくれって
頼まれたんだ。」
「えええ?じゃ~ここへは・・・」
「戻ってこないよ。元々俺と一美がちゃんと話が出来るようにしてくれたんだ。
 だから・・店は兄貴が店を出た段階でクローズだったんだよ。」
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