右隣の彼
岸田君との甘い甘い時間の後
私は今心から愛してくれる岸田君の寝顔を見つめていた。
女の人の様な細くて柔らかい髪の毛が時々私の頬を撫でる。

「一美・・・」
寝ていたはずの岸田君が私の名を呼んだ。視線を岸田君に向けると
今まで見せた事のない眼差しで私を見つめる岸田君に私は笑顔を返した。
「寝てなかったの?」
「・・・・うん・・・何だか目が冴えちゃって」
「で俺の寝顔を見てたんだ・・・」
図星だった。
恥ずかしくて視線を外すと頭上でクスッと笑う声が聞こえた。
「いいよ・・・俺の寝顔はもう一美意外見せる事はないから・・・」
髪の毛を撫でながら耳元で囁かれる甘い声に私は猫にでもなった様にほんの少し身を寄せた。
「・・・ねえ・・・俺の寝顔見ながら一美は何を考えていたの?」



「岸田君の前では先輩でいなきゃとか自分がしっかりしなきゃって思ってた。
 今思うとかわいくないただの年上女だったなって・・・」
「うん」
「もっと・・・もっと早くこの気持ちに気づいていればってちょっと後悔しちゃった」
嘘偽りのない今の私の答えだった。
だけどそんな私に岸田君は・・・・
「もう・・・いいよ。時間かかっちゃったけどこうやって一緒にいられるから・・・」
「うん」
「好きだよ・・・大好きだよ」
「うん」
心臓がドキドキしてうんと答えるので精一杯だった
「ダメだよ・・・うんじゃないよ。一美も言ってよ今の俺への気持ちを」
私はゆっくりと視線を岸田君に移した。
「好き・・・大好き」
岸田君の手が私の頬を撫でたかと思うとニヤッと笑った。

「よくできました」
そして再び唇が重なった。
まだまだ熱い夜は続くのだった
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