右隣の彼
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がんばれ!社内恋愛

岸田君と恋人になって1か月ほどがたった。
後輩から恋人になった私たちの関係を会社の人間は
誰も知らない。

知っているのは岸田君のお兄さん夫婦と私の友達
あっことしーちゃんだけ。
だから仕事中は相変わらず先輩と後輩という立場で接しているが
仕事が終わって2人で過ごす時はおもいっきり甘えてしまう。
本当は何度かこのことを誰かにしゃべりたいって気持ちに
なったが、しゃべってしまうとどちらかが移動になるのでは・・・

そう思うと喉まで出かかった言葉を飲み込んでしまう。

1か月前では考えられないことだ。

「おはようございます!」
岸田君が私よりも10分ほど後に出勤してきた。
自分の席に座るとすっとアイスコーヒーを差し出した。
「はい。いつもの・・・」
「あっ・・・ありがとう」
差し出されたアイスコーヒーには私にしか見えない場所に小さな付箋が
貼ってある。

『今日はお泊りだからね』
週末のほとんどを2人で過ごしている私たち。
この付箋、いつ書いているんだろうと毎回思う。
たぶん、コーヒーが出来上がるのを待っているときに
急いで書くのだろうと思うと思わず顔が緩んでしまうが
誰が見ているかわからないので
付箋をさっと外すと
パソコンに向かって澄ました顔で了解ですとだけ言う。

長かった1週間の締めくくりを大好きな人と過ごせるほど
幸せなことはなかったのだが・・・・・
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