右隣の彼
「あっ!岸田~」
私よりも4つ上の夏元さんが岸田君の隣の席に座ると
にやにやした顔で岸田君の背中をばしばし叩いた。

夏元さんは大学時代にアメフトをやっていたせいかとても
筋肉質な体つきをしている。
昨年結婚して、飲み会がある度に
『結婚はいいぞ~~!』とやたら結婚を勧める。
いい人だけど暑苦しいとこがネックだけど
仕事はできるし人望もあつい。

「俺・・・みちゃったんだよね~~」
夏元さんがにやにやした顔をさらににやにやさせた。
「見たって何をですか?」
夏元さんを避けるようなしぐさで岸田君が言葉を返した。
私もすごく気になった。
まさか私と岸田君のことがばれたとか?
耳だけダンボにして私はパソコンのキーを強くたたいた。

だが夏元さんから出た言葉は意外なものだった
「あれ、お前の彼女か?昨日俺、奥さんと遅い時間に
スーパーに行ったらさ、お前めちゃくちゃかわいい女の子と
楽しそうにお酒選んでたよな。俺、声かけようか迷ったんだが
ラブラブなところを邪魔しちゃ悪いかなって思って遠慮したんだぞ。
お前と並んでると美男美女って感じでさ、俺の奥さん興奮してたぞ」

夏元さんの言葉にキーボードを叩く手が止まったが夏元さんの話は
終わらない。
「だからさ~~今度紹介してくれよ。なんなら・・・そうだ!俺の奥さんも
交えて4人で焼き肉でも食べに行くか!」
本当は岸田君に今すぐそのかわいい女の子の事を説明してもらいたいが
ここは会社だ。
私がここで何か言うべきではない。ないが本気で気になって
手に力が入ったが
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