右隣の彼

「あはははは!」
岸田君の笑い声に私はもちろん夏元さんも一瞬驚いたようだった。
「夏さん勘弁してくださいよ~それたぶん。僕の従兄妹ですから」
「従兄妹?」
「はい。僕の母親の弟の子なんで残念だけど彼女じゃないんですよ」
岸田君の言葉に心底ほっとした私は汗のかいたアイスコーヒーのストローを
勢いよく吸った。
聞きたくてもすぐに聞けないつらさ・・・・心臓に悪いわ。
夏元さんはというとなんだかまだ疑っているような目で見ている。
この手の話好きなんだよね~夏元さんて。
だけどさ、岸田君が彼女じゃないって言ってんだから引き下がってもよくない?

だって・・・だって

私が彼女なんだもん。

・・・・って言えれば楽なんだけどね~~

ため息の代わりにまたストローを思いっきり吸った。
もうアイスコーヒーなんかほとんどなくて
コーヒー味の水をズビズビ音を立てこれでもかというほど
吸っていた・・・・あ~~情けない。

「え~~~?つまんね~な~。従兄妹なの?
 すごいお似合いだったのに・・・でもさ従兄妹って結婚できるんだよね~」
夏元さんはなぜか岸田君とその従兄妹をくっつけさせたがってるようにしか思えない。


面白くない。
プラスチックのコップを握りつぶしたい衝動に駆られたのだが・・・
「冗談やめてくださいよ。俺彼女いますし」
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