右隣の彼
何がなんだかわからない。
私は駿さんと颯太さんを交互に見たが…一人は顔を赤らめ、一人は笑ってる
ますますわからないくなってきた。だがそんな私に駿さんは
「ごめんね。全くわかんないよね、この状況。」
「・・・は~」としか返事ができなかった。
「その前に、しげから聞いたよ。葵の事… 悪かったね。」
「いえ・・いいんです。確かに驚きましたが・・・・」
本当はめちゃめちゃ驚いたけどねとはいえなかった。
すると黙ってジントニックを飲んでいた颯太さんが気合いを入れるように
大きく深呼吸をして姿勢を正し私の見た。
な・・・なに?
このただならぬ空気は・・・私、好きとか言われても受け入れられないんだけど
思わず体がのけ反りそうになるのをなんとか持ちこたえさせてるって感じで
颯太さんを見ると
「ごめん。」
「はい?」
いきなりあまたを下げられた。謝られても理由を言われる前に謝られては返事もできない。
そんな私の様子に駿さんは颯太さんに頭を下げる前にさっさと話をしろとせかした。
「だーかーら、あれは葵の・・・」
「葵さん?」
「あいつがお前の彼氏に夢中になっていることにムカついて」
「は~~」
「お前をデートに誘ったら少しは焦るかと思って・・・」
え?ちょっと待って・・・・え?それって・・・
「もしかして颯太さんは葵さんの事が好きってことですか?」
颯太さんは恥ずかしそうにうなずくと残りのジントニックを一気に飲み
駿さんにおかわりを頼んだ。
私はという緊張の糸がほどけ、椅子の背にもたれ息を吐いた。
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