矢野さん
アパートへ着くと矢野が「少し待ってて下さい」と言い急いで部屋に入って行った。
暫くすると部屋から矢野が出てきた。その手には何やらラッピングされた長細い箱を持っている。
「あの、これ。橘さんに似合うかなって思って前に買ったんです。渡す機会がなかったので遅くなってしまったんですけど……」
そう言うと、矢野は手に持っている箱を渡してきた。
「え?なに?」
訳がわからずとりあえず渡された箱を見つめる。
「助けて頂いたお礼です。形が残る物は迷惑かなって思ったんですけど、やっぱりちゃんとお礼がしたくて……。趣味もあるでしょうし、もし気に入らなければ捨ててもらっても構いません」
矢野の言葉に思わず目を丸くする。
「いや、もうお礼はいいよ。奢ってもらったし、気使わなくても……」
「いえ、ちゃんとしておきたいんです。命を……助けて頂いたので……」
真剣な瞳の矢野に言葉をつまらせる。助けて貰ったのは俺も同じなのに……。
「……そっか。うん。じゃあ、ありがとう」
そういうと、真剣な顔からホッとした様に矢野は優しく微笑んだ。
その顔は今まで見たことない表情で、胸の何かがキュッと締め付ける様な気がした。
暫くすると部屋から矢野が出てきた。その手には何やらラッピングされた長細い箱を持っている。
「あの、これ。橘さんに似合うかなって思って前に買ったんです。渡す機会がなかったので遅くなってしまったんですけど……」
そう言うと、矢野は手に持っている箱を渡してきた。
「え?なに?」
訳がわからずとりあえず渡された箱を見つめる。
「助けて頂いたお礼です。形が残る物は迷惑かなって思ったんですけど、やっぱりちゃんとお礼がしたくて……。趣味もあるでしょうし、もし気に入らなければ捨ててもらっても構いません」
矢野の言葉に思わず目を丸くする。
「いや、もうお礼はいいよ。奢ってもらったし、気使わなくても……」
「いえ、ちゃんとしておきたいんです。命を……助けて頂いたので……」
真剣な瞳の矢野に言葉をつまらせる。助けて貰ったのは俺も同じなのに……。
「……そっか。うん。じゃあ、ありがとう」
そういうと、真剣な顔からホッとした様に矢野は優しく微笑んだ。
その顔は今まで見たことない表情で、胸の何かがキュッと締め付ける様な気がした。