つなぐ理由
「俺はさ、中高、男子校だったんだ。大学も女子が2割しかいないような男ばっかの学部で。しかも部活でガチで大学野球なんかやってたもんだから、彼女みたいなコがいた時期もあるけどあまり女の子に免疫なんてなくてさ……」
そう言った先輩の顔はどこか恥ずかしげだった。
「就職して同期にたくさん女子がいたからさすがに慣れたけど、でも戸田さんくらい年の離れた年下の女の子って、いまだにどう扱えばいいのか分からなくて。正直戸田さんがウチに配属されてからどう接っすればいいのかいつもすごい戸惑ってた」
それであの新人歓迎会の帰り道。ただ純粋に新入りのわたしのことを心配してくれて、酔っ払ったわたしが転倒したりはぐれてしまわないように、上杉先輩はとっさにわたしの手を取っていたのだという。
「でも君の手なんて、繋がなきゃよかったよ」
先輩はそういって自虐っぽく笑う。
「君の手を取ろうとしたときは、本当にやましい気持ちなんてこれっぽっちもなかったんだ。藤井とか時田とか他の後輩の面倒みるときと同じ感覚でいたっていうか。さすがにあいつら男相手みたいに肩組んで抱えてやるわけにはいかないから手を繋いだだけで、本当に変な意味はないつもりだったのに……」
先輩の視線がわたしの手に留まったのがわかって、なんだが恥ずかしくなって思わず両手をぎゅっと握り締めると、上杉先輩は思わず本音がこぼれてしまったという顔で呟いた。
「……びっくりした。女の子の手って、こんなに華奢だったんだって思って」