もう一度、逢えたら…
廊下側の一角に、
一見細身で、
しかし
実際には
スポーツマンらしい、
均整の取れた
筋肉質の
大柄な男子生徒が、
腕を組んで座っていた。


しかし突然、
彼は
何かを思い出した様に
おもむろにネクタイを外すと、
目前の
よく手入れの行き届いた
明るい髪をした
男子生徒の後頭部を、
外した自分のネクタイで
叩いて言った。


「おい、
このネクタイ
丸山に渡しといて。」


頭を叩かれた彼は、
乱れた髪を
手櫛で整えると、
面倒くさそうに
後ろを振り返りながら言った。


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