絶対に好きじゃナイ!

「soirの社長から伝言だ。"信頼できる代理人を用意したから資料はその人に渡して欲しい。ただし女性同伴"だそうだ」

「じょ、女性同伴……?」


何それ、どういうことだろう?

首を傾げたわたしに、俺もわからんとばかりに社長が肩を竦める。


「少し遠いが俺の車で行こう。お前もついて来い。それでいいな?」


そう確認する社長の瞳が、少しだけ不安気にわたしを伺って揺れる。

社長だって、昨日のことを少しは気にしてるんだ。



社長とふたりきりの車はもちろん緊張するし、多少気まずい。

でもコレは仕事だ。

もともとわたしが任せてもらった、大事なお仕事なんだから。


「はい、よろしくお願いします!」


わたしはしっかりと頷いてから、自分の足元を見た。

今日は無理やり気分を上げようと思って、普段は履かないお気に入りのヒールを履いてきた。


黒いsoirのヒール。

長い時間履いても疲れにくくて歩きやすくて、そしてシンプルなのにオシャレ。
少し古い型なんだけど、大好きなヒール。


わたしは黒のヒールを踏み鳴らしてsoir本社に向かうための準備をはじめた。
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