絶対に好きじゃナイ!


どたばたと準備を終えるとすぐに社長の運転する車に乗って、soirの本社へ向かった。
事務所の中ではなんとかやっていけても、やっぱり車内でふたりきりは気まずい。


な、なんか話した方がいいのかな……?


だけど適当な話題が全く思い付かない。

天気いいですね、とか?
体調はどうですか?
昨日の夕飯は何でした?

ああ、ダメダメ。
最後のは絶対却下。



それにしても、soirの社長さんが用意した信頼できる代理人って一体どんな人なんだろう?

本社の人なんだろうか。

あ、話題、このことでいいじゃん。


「う、上手くいくといいですね!」

「ん?ああ……」


ヤバい、ちょっと声が大きくなった。

もぞもぞと身動ぎをするわたしをちらりと見て、社長が困ったように笑った。


「眠いならムリして起きてなくてもいいぞ。さっきからそわそわしてるだろ」

「へ?」


そわそわしてるのは、別に眠かったわけじゃないんだけど……

それに、この状況で眠くなれるほど神経図太くないのに。
< 106 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop