絶対に好きじゃナイ!
だけどその笑顔は全然ウソっぽい笑顔じゃなくて。
優しく笑う、あったかい笑顔だった。
「だからね。あいつにとって梨子ちゃんはあんまり長い間大事な存在だったから、ちょっと怖がってんのかもしれないよ」
「え?」
「うん、まあ大丈夫。西城虎鉄って男の弱点は小さな女の子だって、実はちょっと有名だったんだ」
そう言って身体を起こすと、わたしのアパートのほうを振り仰いだ。
「部屋はどこ? ちゃんと最後まで見届けないとね」
「あ、えっと、3階の角の部屋で……」
わたしの言葉を聞いて先に立って歩く要さんについて、アパートの階段を上った。
階段を上りきって奥にあるわたしの部屋に向かって進む。
わたしに背中を向けたままぐんぐん歩いて行く要さん。
少し進んだところで止まると、こちらを振り向いて言った。
「それじゃ、おっかないからこれでバトンタッチね。まあ、どんどん困らせてやればいいと思うよ」
「へ?」
要さんの背中がなくなって開けた視界。
その先にあるわたしの部屋のドアに寄りかかるように立つ人の姿を見て、わたしは思わず息を飲んだ。