YUMERI〜女のコにはユメとキボウがあるのだ!〜
「1番の戦利品はケリー・グラントのブロマイドだな〜」
フードコーナーでラーメンをすすりながら希望梨はご機嫌だ。
「…誰、それ」
稔は炒飯(ミニサイズ)を食べていた。
「『雨に唄えば』とか出てる名優だよ!ばあちゃんが好きな俳優さんなんだ。ばあちゃんの土産に。あ、でも帰っちゃったから送らなきゃ」
「ふーん…」
俺こればっかり言ってるな。
…というかこいつ結構食うなぁ…。
豪快にラーメンを口に運ぶ様子を見て稔は圧倒された。
ポップコーンだけで胸やけしそうだが。
女の子がよく言う別腹?
「マシューが死んじゃうシーン何回見ても泣けるなぁ…。あの俳優さんはご健在かな?でももう20年前位の作品だしな…」
食べながらよくしゃべるなぁ。
確かに日本のアンかも知れない。
ぼんやり希望梨を見ていて、初めて彼女がいつもより女の子らしい服装をしているのに気付いた。
本来は伊坂と来るはずだったからお洒落したのか…。
どす黒いなんとも言えない感情が渦巻く。
伊坂は希望梨と付き合うつもりなんだろうか。
希望梨もそれを望んでいるんだろうか。
「…る、稔!」
呼ばれているのに気付いて顔を上げた。
…ラーメン完食。
炒飯(くどいようだかミニサイズ)はまだ半分残っている。
「次の上映近いからね、早く食べてね」
稔はどす黒い気持ちを炒飯と共にかきこんだ。
13:15P.M.
今日、平成の日本のアンとギルバートの歴史に新たな1ページが書き込まれようとしていた。
名付けて、「伝説の一日」…。
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