YUMERI〜女のコにはユメとキボウがあるのだ!〜
確かに。
お金を入れないと分からないクレーンの握力。
パンダは、出口に足を引っ掛けている。
1回200円。
3回500円。
「よっしゃ」
稔は腕まくりをして、500円玉を入れた。「うわ、大丈夫?」
希望梨は不安げだ。
高校生には大金(積もり積もれば)である。
クレーンゲームは、取れる迄にかなりお金を注ぎ込む。
あと少しで取れる、あと少し…。
ある意味ギャンブルで、小銭を使い切りお札しかなくなっても気がつけば両替機の前に立ってしまう。
大人でも痛い出費だが、学生には余計…。
「パンダ、パンダ!」
クレーンを操作するボタンを押しながら稔はつぶやいた。
「北京オリンピックイヤーなんだからパンダ来い来い!」
希望梨はパンダに願掛けをするかのようになっている。
ウィーン…
ガシ。
「ちょっと!パンダを挟んでないよ!」
希望梨はびっくりしてそう言ったが、
「見てなって」
稔は余裕だった。
パンダの腰?に当たったクレーンを、右に動かした。
ウィーン…。
ズズズッ。
「…!」
希望梨は目をみはった。
パンダの三分の二が出口に入っている!
「取れた〜!」
と希望梨は喜んだが、稔の指差すポスターに…。
゛縫いぐるみが完全に入って獲得した事になります″
あぁ…無情Part2。


「大丈夫」
稔は最後の一回に賭けた。
これじゃホントにギャンブルだ。
「一球入魂!」
…違うって。
希望梨は心の中で突っ込んだ。
「右だ、右!」
華麗なる?指裁きでボタンを操作し…。







落下!
「やったあぁ!」
希望梨は思わず稔に抱きついた。
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