オレ様探偵とキケンな調査
月1回の少しの時間の、元家族の時。


それだけが唯一救われる時でもあり、苦しい時間。


「元気そうだな」


「うん。亨がね、コップを持てるようになったの」


「…コップ?」


「そう、コップ。水の入ったコップを手に持って口元まで運べるようになったの。今まではうまく力が入らずにいたんだけど、体の成長とともに筋力もついてきたんだろうね、って。作業療法士の松下先生がおっしゃったの」


「そうか。亨、頑張ったな?」


「オジサン、だぁれ?」


「オジサン…か…。オジサンはね、ママの友達だよ」


「トモダチ」


「そうだ。亨にも友達いるだろ?」


「ママ、トモダチって、なぁに?」


「亨にもいるでしょ?病院で遊ぶモモちゃんやリョウタくんが友達だよ?」


毎回、会う度に繰り返される同じ会話。


違和感を拭いきれないのは、やっぱりオレが現状を受け入れられていない証拠なんだ、と。


毎度毎度、思い知らされる。
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