オレ様探偵とキケンな調査
「それはさておき。椿さん、傷は?」


「うん。左手はお薬塗ってなんとか包帯巻けるんだけど、右腕はできなくって」


「じゃ、見せて」


「えっ!いいよぉ。もう大丈夫だからっ」


「右腕の方がひどいんだから、ちゃんとしなきゃ。見せて」


「うん…」


帯金さんの前で颯太くんに触れられるのは少し気が引けたけど、自分で治療できない以上、どうしようもない。


颯太くんの隣に座ってカーディガンを脱いで半袖になり、おとなしく右腕を差し出した。


「ホラ、やっぱりまだ腫れてる。軟膏持ってる?」


「うん」


あたしはお弁当と一緒にテーブルの上に置いた鞄の中から軟膏を取り出し、颯太くんに預けた。


6ヶ所の傷に丁寧にお薬を塗り、また包帯を巻いてくれる。


「OK。でもさ、治るのもったいないね?」


「どうして?」


「椿さんに触れないじゃん」


「エロガキ。椿、いいからもうこっち来い。弁当、食うぞ」


「あ、ハイ」


「へぇー。ココって椿さんの手作り弁当なんだ」


「うん、そうなの。良かったら颯太くんも食べて?お父さん達留守中で、どうせまたコンビニなんでしょ?」


「ボク?」


「うん。明美さんの分、余っちゃうから」


言いながらあたしは帯金さんの隣に座り、颯太くんに明美さんの分のお弁当を渡した。
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