優しさ、そして愛



え、そこ…?





今、そこなの??





相変わらず爽やかな笑顔で
私に名前で呼んでほしいと言った





「でも、早川さんのほうが
 年上ですし…」





それに答えてる私も私だけどね?






「呼んでいただけないのですか?」





悲しげに瞳を揺らし
私から顔を背けた






そんな顔ずるい






そんな捨てられた子犬みたいな…






「竣、さん…」






やっぱり呼び捨てには抵抗があったから
さん付けで許してください






名前を呼ばれたのに気をよくしたのか
さっきまでの表情が嘘のように
いつも通りの爽やかな笑顔に戻った






あ、だまされた






「さぁ、みなさんお待ちですから
 中に入りましょう」





覚悟を決めて竣さんに続いて
歩き出した





大きく掲げられたその名前に
気づかなかった私はやっぱり
抜けているのかもしれない





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