*魔法の香り*
「あ、あのっ、……はい、ごめんなさい」
「うわぁ、オレカッコ悪ぃ……」
真っ赤になって両手で頭を抱え
ガクッと
先輩が落ち込んでしまった。
あわわわっ!!!
あたしの発注ミスの
フォローをしてもらったお詫びに
誘った食事なのに
誕生日だからって
こんな素敵なディナーに
連れて来てくれた先輩を
ガッカリさせてしまった……。
「全然、カッコ悪くなんてないですよ!?」
嘘でも
誕生日です♪ ありがとう!!
って
喜ぶスキルがあたしにあれば……。
イヤ、嘘じゃなくて
泣きそうなほど嬉しいのは
本当だから……
「あのっ!! 本当に先輩はカッコ悪くないですよ? ……先輩の気持ち嬉しかったです、ありがとうございます、先輩の誕生日は、あたしにも祝わせてください!!」
なんとか
先輩に笑ってもらいたくて
一生懸命に言葉を選んで伝えた。
「あぁ、……逆に気ぃ使わせてゴメンな? ありがとう」