生意気なキス
「ひどいなぁ。
良かったから、良かったって言っただけなのに。
俺は真面目な男ですよ?
彼女以外とキスしたのも、おねーさんが初めてだし」
初対面でいきなりキスしてくるような人は、どう考えても真面目じゃないと思う。
信じて?って言われても、無理に決まってる。
若い子ならまだしも、それなりに人生経験もつんできて、結婚も考える年の大人の女が、そう簡単に信じられるわけがない。
でも。
「詩織よ、私の名前。
私はあなたのお姉さんじゃないの。
付き合いたいなら、名前くらい知っておいて」
今までずっとガチガチに気を張って真面目に生きてきた人生、一度くらい直感を信じてみてもいいかもしれない。
彼氏の前でもとれなかった私の鎧をはがしてくれた、あなたとのキスで感じた直感を。
「......俺は貴広です。
俺の彼女になって、詩織」
無理をしないのが一番だと分かっていても、しっかりメイクをして、無理をしてでも、がんばらなければいけない時がある。
けれどこれからは、時には肩の力を抜いて。
あなたがくれたグロスのように、リラックスして可愛い女の子に戻れるような自分でありたい。
好きな人に素直に甘えられる自分でいたい。
そんな私でいることができるように、
貴広、私のそばにいてくれる?
名前を教えたとたんに、いきなり呼び捨てにしてきた生意気な唇に、今度は私からキスをした。
【完】
良かったから、良かったって言っただけなのに。
俺は真面目な男ですよ?
彼女以外とキスしたのも、おねーさんが初めてだし」
初対面でいきなりキスしてくるような人は、どう考えても真面目じゃないと思う。
信じて?って言われても、無理に決まってる。
若い子ならまだしも、それなりに人生経験もつんできて、結婚も考える年の大人の女が、そう簡単に信じられるわけがない。
でも。
「詩織よ、私の名前。
私はあなたのお姉さんじゃないの。
付き合いたいなら、名前くらい知っておいて」
今までずっとガチガチに気を張って真面目に生きてきた人生、一度くらい直感を信じてみてもいいかもしれない。
彼氏の前でもとれなかった私の鎧をはがしてくれた、あなたとのキスで感じた直感を。
「......俺は貴広です。
俺の彼女になって、詩織」
無理をしないのが一番だと分かっていても、しっかりメイクをして、無理をしてでも、がんばらなければいけない時がある。
けれどこれからは、時には肩の力を抜いて。
あなたがくれたグロスのように、リラックスして可愛い女の子に戻れるような自分でありたい。
好きな人に素直に甘えられる自分でいたい。
そんな私でいることができるように、
貴広、私のそばにいてくれる?
名前を教えたとたんに、いきなり呼び捨てにしてきた生意気な唇に、今度は私からキスをした。
【完】

