生意気なキス
「ごめん、可愛いから我慢できなかった。
キスしたことは怒らないの?」


「怒ってほしいの?
怒ってほしいなら、怒るけど?」


「知ってる?キスは、唾液に含まれてるDNAで相手との相性をチェックするんだって。
キスが良かったら、生物的に相性が良いらしいよ。

ねえ、どうだった?」 



人の質問を無視したかと思えば、引き寄せられて耳元でささやかれる。

どうだったとか、いちいち聞かないでほしい。
私がどう思ったか、絶対分かってて聞いてるでしょう。



「別に、普通」


「俺は今までした中で、一番良かったですよ。
俺たち相性いいよ、きっと。

ちゅうもしちゃったし、お互い一人身だし、もう付き合っちゃう?」



普通って言ったのが聞こえなかったの?

涙も見せたというのに、ここまできてまだギリギリの理性が残っていたのか、年上の威厳を保とうとするけど、そんなのは無駄みたい。


年がいもなく、本当かどうかも分からない彼の言葉にときめいてしまった。

だって、DNAについては良く分からないけど、......私も今までで一番良かった。

八年付き合った彼氏としたどのキスよりも、こんなのとしたキスが一番良かったなんて嫌だけど。



「誰にでも言ってるんでしょう?」




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