危険なアイツと同居生活





「高校の時、塾の先生と付き合っていた。

あたしより一回りも年が違って、大人だった。

先生は人気で面白くて、あたしの手の届かない存在だった。

それなのに、あたしと付き合ってくれたことに驚いた」




初めて聞く芽衣の話。

あたしは頷きながらそれを聞く。




「大学生になったら、先生と学生結婚するつもりだった。

新居の話とかもした。

だから、絶対先生と結婚するのはあたしだと思った。

でもね……」




芽衣の顔に、涙が浮かぶ。

その涙を見て、あたしまで引き裂かれそうな思いになる。




「先生、奥さんと子供がいた。

偶然、三人で楽しそうに歩いているのを見た。



……ねぇ、唯。

先生はあたしを傷つけたけど、あたしは先生の家族を傷つけた。

あたしね、先生が許せないけど、自分も許せない。

……浮気とか二股は、誰も幸せになれない」






誰も幸せになれない。

……そうだよね。

このまま蒼と付き合っていたら、あたしも川藤ゆりも幸せになれない。

第一、あたしとは人前で関わらないのに、川藤ゆりとはべったりだ。

これって、あたしが浮気相手ってことだよね。



……あたしが身を引かなきゃ。





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