危険なアイツと同居生活
会場は、中規模のホールだった。
ファンクラブ限定といえど、こんなにファンが押し寄せることに戸惑いを隠せない。
指定された席に座ると、すぐそこにステージがあって。
手を伸ばすと届くんじゃないかという距離だった。
周りからはファンの会話が聞こえる。
みんな口々にFのことを話していて。
やっぱり蒼は世界が違う人だなぁと痛感する。
それでも、蒼はあたしを選んでくれた。自信持たなきゃ。
「唯、Fのアルバム届いた?」
「うん!!……超かっこよかった!」
そう言いながら、アルバムを回想する。
まるで耳をとかすような碧の声……
まだライブも始まっていないのに、あたし……おかしくなりそう。
そんな中、開演を告げるブザーが鳴る。
ドキドキドキドキ……
鼓動が速すぎて。
胸が苦しくて。
胸をぎゅっと掴んでもがくあたし。
どうしよう。
あたし、こんなところに来てしまった。
あたし……