危険なアイツと同居生活






ざわめいていた会場が静かになる。

ひんやりとした空気があたしを包む。

ここは、歌手憧れの武道館。

その重々しい空気を全身で感じる。

そして、全てのファンが、Fの登場を今か今かと待ち侘びた。





ドキドキドキドキ……





一秒がすごく長い。




やっと会える。

あたしの大好きな蒼に。








突然、ドラムが鳴り響いた。

激しい嵐のようなその音は、武道館の空気を切り裂く。

ステージが青いフラッシュで包まれ、スモークが上がる。



少しずつ……

少しずつ、その大舞台が姿を表す。






あたしの前に立つ、その黒い革靴。

細身の黒いパンツ。

青いギター。

そして……

きゅっと引き締まったその口に、狼のような鋭い瞳。





彼を見た瞬間、体温が上がる。

胸の中の獣が暴れだす。

ギターを撫でるその手で、あたしの身体を溶かして欲しい。

その甘い声で、あたしを狂わせてほしい。



蒼……好きです。

このファン全員を敵に回しても、あたしは蒼から離れない。








その鋭い瞳があたしを捉える。

そして、少しだけ笑う。

あたしの頬を、涙が流れていた。




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