危険なアイツと同居生活





そして、曲は二曲目に移る。

打って変わって静かなバラードだ。

碧はマイクに手をかけ、こっちを見つめる。

そして、甘くて危ない笑みを浮かべた。





「ひゃぁぁぁぁぁ!!」




女子たちが大騒ぎする。

負けじとあたしも大声を出す。




「やばいっ!

蒼君超エロい!!

唯、あんなのといて大丈夫なの!?」




だ……大丈夫じゃないよ。

あたし、もう胸がざわざわして倒れそう。




「ふ……普段はあんまりやらないから、あれ……」




あたしの声は震えていた。




本当に不思議だ。

いつもは無邪気な蒼なのに、あのフェロモンはどこから来るのだろう。

蒼がずっと碧だったら、あたしはその過激さに死んでいるかもしれない。







危ない顔をしながら、艶っぽく『You and I』を歌う碧。

マイクにかかった手すらエロい。

だけどその歌詞は、あたしの心をじんわりと温かくする。

蒼の優しさが滲み出ている詩だった。

何回聞いても泣けてくる。

蒼からの最高のプレゼントの唄。

あたしは蒼と会えて、本当に幸せ者だ。

妖艶な碧と心温まるその歌詞に、今夜もあたしは狂わされた。




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