危険なアイツと同居生活
入学式の会場となるホールには、すでに新入生が座っている。
その中にいそいそと入るあたし。
一番後ろの空いた席を見つけて、そこに腰かけた。
ふー、何とか間に合ったみたい。
これで一安心。
そう思ったけど……
「見た見た?Fの碧」
「うん!超カッコ良かった!!」
「碧、建築学科なんだって」
周りから聞こえる碧の噂。
蒼と同居……なんてことになっていなかったら、きっとあたしも飛びついていた。
そして、胸を踊らせて影から蒼を見て……。
だけど、今は知られたくない。
取られたくない。
そんな気持ちでいっぱいになる。
あたしはただの同居人なのに。
もしかしたら、蒼にも彼女がいるかもしれないのに。