危険なアイツと同居生活




「あー、これからサークルにも入れるよね」




相変わらず真っ赤な顔の慎吾が言う。




「本気で税理士目指せるし、バイトだって出来る」



「俺もフランスに修行に行こうかな」




前向きなことを言うのに、二人の顔はすごく暗い。



これって……



これってまさか……







「唯ちゃん、ごめんね」




トイレから出てきた蒼があたしに言った。




「俺たち、解散するかも」




え……




「唯ちゃん……

Fがなくなっても……

俺のこと、嫌いにならない?」



「と……当然じゃん!!」





あたしは碧と付き合っているわけじゃない。

あたしの彼氏は、蒼だから。






だけどね……




やっぱり寂しいよ。

もうFを見ることが出来ないなんて思ったら……




「やっぱ唯ちゃん、大好き」




にっと笑う蒼にも、元気がない。

こんな辛そうな蒼、初めて見たよ。




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