いつか、また会える日まで。



「……加菜、行ってらっしゃい!」




「お母さん……。……行ってきます!」




満面の笑みで言う。


ここは、空港だ。





今日は出発の日だった。





「頑張れよ!俺も応援してるからさ!」


「……ありがとう。待っててね」


「いつまでも、待ち続ける」


「咲夜……」




私は咲夜に近づいて、短くキスをした。




「ここは私のものですっていう証。取られないでよ??」




こう言うのにも理由がある。


私がいなくなってから、別れたと勘違いして咲夜にまとわりつく人が何人もいるらしい。

女子副生徒会長だってそう。


作らないと言ったのに、私を申請してくださいって言い寄る女も多いみたい。



「……咲夜も、頑張ってね」



そう言って、私は咲夜の小包を渡した。


ペアのネックレスだ。



昨日、買ってきた。


これにはメッセージが入っている。



「これ、プレゼント。私とお揃いのネックレスだから、つけてて欲しいの」



「あぁ」



短く返事をした咲夜はそっとその小包を懐へとしまった。



『2番乗り場の飛行機にお乗りの方は……』



とアナウンスが流れた。



「……行ってきます。大好きだよ」



そう言って、私は歩みを進めた。


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