恋色花火
さっきと同じ声のトーンで告げられた言葉。
それでもあたしの心は落ち着いている。
まるで、結末など分かっているみたいに。
「ユウヤ君! もうすぐ一番大きな花火上がっちゃうよ!
いつもの特等席、行こう?」
どこからか駆けてきた女の子。
顔は揃えられた前髪で見えないけれど……鈴を転がしたようなこの声は、間違いなく……。
「ごめんごめん。
じゃあレン、また新学期、学校でな!」
ユウヤの腕に絡みつく女の子の腕。
そしてそのまま……二人で暗いほうへ消えていく。
一人ぼっちのあたしが見上げる先に……大きな大きな花火が上がった。
それでもあたしの心は、ずっと落ち着いていた。