愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『次の金澤の開始予定時刻は16時30分。つまり既に10分オーバーだ』
『だからって、話が終わっていないのに次の人を私に了解もなく呼ぶのはどうかと思いますけど!』

ユウコちゃんの怒りは止まらない。

『先生、常識ないよ!』
『常識ないのはどっちだ』

ユウコちゃんの声に被せる形で健吾さんが一蹴した。

『開始時刻に10分遅れた君に、常識ないとは言われたくないね。遅れた分、金澤の帰りだって遅れてしまう。外はもう日が傾き始めた。この学校の部活動以外での最終下校時刻は今の時期でも17時だということくらい、君も知ってるだろ』

そう。部活動以外での最終下校時刻は決まっていて、10月から3月までは16時半。4月から9月までは17時。

『つまり金澤にはもう面談の時間がないんだ。しかし金澤は時間の10分前には廊下で順番を待っていた。俺は予定時刻を過ぎていたから、金澤を呼んだ』
『だからって…』
『あともう1つ』

健吾さんは淡々と、でも明瞭に語る。
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