愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『アハハハ。でも玲奈っち、冗談ではないんだよ、今のも』

そう言うとテッちゃんはまた真顔に戻った。

『恋人同士が好き合って、最終的に愛情を確かめ合う手段としては、唯一無二の行為だと思う。たとえその男女の関係が禁断とか背徳とか言われるものであっても』

でも…私にはまだそこまでの経験が、ない。

「私、まだそこまでは…」
『大丈夫。そこは健吾を信用しようよ。玲奈っちはただ、健吾を愛し抜けばいい』
「テッちゃん…」
『あ、アイツが傷を抱えている話と、ついでに成瀬川の次男であることは、美郷には内緒でお願い。美郷、勘が鋭い上に一度疑問を持ったらなりふり構わず質問攻めにするからさ。健吾の傷に塩を塗ることにもなりかねない』

私は頷いた。

確かに、美郷ならあり得る。
でも、成瀬川は何の関係があるんだろう。

健吾さんの心の傷と別で考えていいのかな?


< 143 / 548 >

この作品をシェア

pagetop