愛されることの奇跡、愛することの軌跡
そして、うちの学校の出番だ。


35人編成。


規模はお世辞にも大きいとは言えない。


今回は、私や上杉くんもそうだけど、過去に健吾の弟のゴウ先輩がやったような3年生での部活動期間延長を誰もしなかったので、人数的にはかなり不利。


それでも"どうにか形にはなってる"と健吾はメールで言っていた。


『悔いのない演奏をしてくれれば、俺は満足かな』


上杉くんは準備をする後輩を見ながらそう言った。


うちの吹奏楽部は、お世辞でも練習量が多いとは言えない。


経験者が集まるほど実績はないし、ましてや将来音大に進もうと思っている人もいない。


だから、コンクール出場も"高校生活の思い出"のひとつにしか過ぎない。


だから私も、上杉くんと同じ気持ちかな。結果は求めてない。
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