愛されることの奇跡、愛することの軌跡
健吾は私の隣に座った。


『ごめんな玲奈、こんなことになってしまって』


健吾は体ごと私に向けて、少しだけ頭を下げた。


「私は大丈夫。健吾こそ、疲れてない?」


『俺は、平気。今日、ここに来られて嬉しいよ』


『先生、忙しくて無理だとおっしゃってましたよね』


健吾が"アイスティーをストレートで"と注文しながら、陽平にそう尋ねられた。


『うん。この後の予定がなくなったんだよ。だから、学校に楽器を戻すのを見届けてから、ここへ来たんだ』


"あと…"と言いながら、カバンから厚みのない新聞を取り出した。


見たことのない新聞社の名前。


『業界新聞だよ。出版関連の記事だけを扱ってる。でもその中でもここは一番大きな新聞社で、出版業を営んでいる会社でこれを購読してない会社はないっていうくらいのシェア』


『これが、どうしたって言うんですか?』


陽平が1面を見ながら健吾に聞く。


『よく見てみろ』


ひとつ私がめくって2面を見たところで、私を含む3人が"あっ!"となった。

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