愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『父さんは弱みを握られているのではなく、むしろ攻めてる側だったって訳か』


『しかし、この話にはひとつウィークポイントがありまして』


斉木さんは少し微笑んだ。


『実はこのうちの社長の考え、向こうの大津(オオツ)社長はご存知ないようなんです』


「え?」
『はい?』


だって、さっき"裏取引"って言ってたよね。


『うちの社長の裏取引の相手は、大津社長ではなく、ホームセンターを運営している会社の社長なんです。定期借地権の更新をしないように、と』


建物の取り壊しに関すること全ての費用負担を龍成社が請け負うことが交換条件。


でもこのままでは、土地の権利はエフプリント工業側が持ちながら、定期借地権契約としてあの場所を"借り受ける"ことになる。


そうなると後々の後継者への引き継ぎが厄介なことになるので、あくまでも土地の権利そのものを取得したい。


その話し合いを優位に進めるための結婚話なんだ、と。
< 341 / 548 >

この作品をシェア

pagetop