愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『健吾くん、成瀬川家の次男坊らしいじゃないの。知らなかったから最初はイタズラ電話かと思ったじゃない』


『申し訳ございません。僕が成瀬川の人間だと分かってしまったら、玲奈さんとお付き合いできないのではないかと思い、ナルガクの生徒たちにも名前を本名にせずに名乗っているのですが、そのままにしてしまいました』


「私も悪いの。健吾はお父さんお母さんの性格を知らないじゃない?だから慎重にどうしてもなってしまうから、本当は私から言うべきだったんだろうけど、健吾に合わせてしまったから」


『ふたりとも、顔をあげなさい』


お母さんはそう言うと


―パチン、パチン―


健吾と私はお母さんの平手打ちを受けた。


『母さん!』
『おい!』


陸とお父さんが驚いて声をあげた。


それぞれ頬を押さえる私達。
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