愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『なぁに?健吾くんが成瀬川の人間だとわかったら、身分不相応で玲奈との交際を認めないとでも言うかと思ったわけ?バカにするんじゃないわよ!』


お母さんが声を荒げたの、随分久しぶりなような気がする。


『私達親はね、子供の幸せを一番に願うものなの。健吾くんがどんな人間だって、玲奈が選んだ人だもの。私達はね、健吾くんを家族の1人だと思っているの。だから、隠し事があるのは、すごく悲しいの』


『…あ、あの』


『だから、健吾くんにとってお父さんは"お父さん"で、私は"お母さん"で構わないのよ』


『お母さん…』


多分、人生で誰かに向かって一度も使ったことのない日本語だよね、健吾。
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