愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『私は実母の記憶は全くないけど、健吾は断片的に記憶に残る年齢になってから引き離されたから、ショックが大きかったんだと思うの』


泣いて、夜が明けると、勝手に玄関から外に出てしまうこともあった。


ママを探しに行こうとして。


その度にお手伝いさんや、斉木さんによって連れ戻された。


『恋愛に対して重たい健吾のルーツは多分そこにあると思うの。大切なものを失いたくないという、強い気持ちが培われた』


にも関わらず、紅葉さんを親友に奪われ、そしてこの世からもいなくなってしまった。


しばらく、放心状態だった健吾。


でも、前向きにさせてくれたのが、良美さん。


『健吾が東都に行けたのは、良美さんのおかげね』


放心状態の健吾を、実母である良美さんに引き合わせたのは、何とお父様だった。
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