愛されることの奇跡、愛することの軌跡
私は冷蔵庫からオレンジジュースを出してコップに注ぎながら現実を語る。

『姉貴さぁ、シン兄ちゃんはもう結婚したんだから、今からでも玉の輿の道模索してみたら?せっかくナルガク行ってるんだからさぁ』
「あのねぇ…」

すると、玄関から声がした。

『ただいまー』

お母さんの声だ。

『あ、ヤベ。また怒られる』

弟はバレーの映像を切る。

お母さんがたくさんの荷物を持ってリビングに入ってくるなり、

『あら、この時間にふたり揃ってるなんて珍しいわね』

お母さんは素早くキッチンに向かい、そこにいた私を"邪魔よ"と言って追い出した。

『アンタたちくらいの年齢なら、彼氏彼女がいてもおかしくないんじゃないの?玲奈は、もうシンジくん結婚したんだし、そろそろ玉の輿婚に向けて活動したらどぅ?』
『あ、母さん俺と同じこと言ってるー』
『玉の輿は冗談にしても、好きになる人の1人やふたりいたっていいじゃない』


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