愛されることの奇跡、愛することの軌跡
小学校から歴史の授業はあって、歴史のマンガとかも読んでたけど、そんなこと考えたこともなかった。

『その過ちを学ぶことで、その過ちをどう捉えるか、俺はそれをみんなに問いながら授業を進めたい。それには、この1年間で聖徳太子あたりからやっていたら時間が足りないんだ』

その説明には説得力があったが、さらにダメ押し。

『センター試験で日本史ABを選択しようと考えてる人間は、3年生で日本史をやるというこの学校のカリキュラムがある以上、多分いないだろうし、そもそもセンター試験を受けようと考えてる人間も少ないだろう。君たちの進路調査表見れば分かる』

何故か私を見た先生。
あぁ、私の進路調査表に文句言いたいのかな。

『成績はつけなきゃならないからテストはやるけどな。歴史の暗記が苦手な人でも、歴史を学ぶ意味を頭の片隅に置きながら、俺の授業を受けて欲しい』

何か、先生の話し、引き込まれてしまったよ。

『ところで―』

―キーンコーンカーンコーン―

先生の話の途中でチャイムが鳴った。
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