愛されることの奇跡、愛することの軌跡
健吾から"俺の分まで演奏してよ"と、自分のアルトサックスを提供されたし、引き下がれない。


途中で準備のため、謝恩会会場であるナルガク敷地内のレセプションルームから外に出て音を出し始める私達。


でも、ちょっと時間が早すぎない?


まだ予定で1時間以上あるんだけど。


「ねぇ、本当に大丈夫なの?ダサくならない?」


不安がる私の言葉を遮るように、陽平の携帯が鳴った。


『了解しました。こちらも準備出来てます。もう、裏にいますよ』


短い話が終わり、携帯を閉じる陽平。


電話の相手は誰?


『さ、玲奈。もう1人のプレイヤーの登場だよ』


笑顔で陽平に言われて、私は


「は?」


誰が来るのよ。


建物の壁の角からこちらに曲がってきたのは…健吾?


驚く私に、満面の笑みを浮かべる健吾
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