愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「でも、かつては切らすことなく遊んでいたんだよね…それにしても、実穂さんを慈しむ姿はそうは見えなかったけど」


『あのね、遊んでいる人間ほど、後腐れなくするためにそのあたりはきちんとしてるんだよ。だから…あのふたり、強硬突破したってところかな』


「強硬突破?」


『父さんを説得するための既成事実を作ったんだ。よっぽど、一緒にいたかったんだろうな』


悪阻の辛そうな実穂さんを見て、それでも井上さんに愛されているのがさっき見て分かった。


「ちょっと、実穂さんがうらやましい、かな」


『どこが?辛そうだったじゃん』


「だって、愛する人の赤ちゃんを妊娠出来るなんて、これ以上ない幸せだよ」


"アハハ"と笑って


『玲奈、こっちにおいで』


と、自分の脇に座るように促す健吾。


『あのさ、さっきの三浦とのやりとり聞いてたらさ、玲奈を抱きしめたいのに抱きしめられない苦しさ、辛さを痛感したんだ』


「私も、寂しかった」


健吾は天を仰いだ。
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