愛されることの奇跡、愛することの軌跡
4月から、経営学修士を取得するために龍成社に籍を置きながら夜間大学院に通うと聞いた。


"俺は教育のことしか勉強してなくて、経営については素人だから"と言うのが理由だった。


多分、夜や休日は勉強漬け。


勉強しなくたって健吾は十分優秀なのに、まだ学ぼうと言う向上心の強さに、私は惹かれるんだ。


経営学修士取得は、実は私も密かに考えていた。


でも、まだこれから大学生になろうという私には、取れる資格はまだない。


こういう時に思う。


健吾との年齢差。


健吾…私はいつ、あなたの横に立てるくらいの釣り合いの取れた人間になれるの?


そして、追い付くための近道はないの?


いつの間にか夢の中の住人になっていた健吾の寝顔は、すごく無防備で。


私は、色んな感情を込めた眼差しを送りつつ、眠りについた。
< 515 / 548 >

この作品をシェア

pagetop