ロッシュの限界




「だってこんな

一生に一度あるかないかの恋を
手放すくらいだから、ね」




そう言った佐藤が、どんな顔をしていたのか
分からなかったけど。
また少し、心臓は痛んだけれど。

それにはもう応えないであたしは笑う。



「早くしないと、舞帰っちゃうよ」
「え、舞待ってくれてんの?」
「うん。言わなかったっけ?舞も補習してたの」
「それ先に言ってよ!早く行こ!」
「ごめんごめん。後で舞にも待たせてごめんって言わないとね」
「そうだね…ジュースで許してくれるかな?」
「あたしアイス食べたいなー」
「え、委員長は待たせた側じゃない?むしろ一緒にジュース買う側じゃない?」
「何言ってんの。佐藤がグダグダごねるから遅くなったんでしょ」
「えー?!俺そんなお金持ってないよ!」
「知りませーん。アイスアイスー」
「ちょっと、待ってよ!」



言い合いながら廊下を走る。
待ってくれているであろう、舞の元へ。


今までと変わらない
いつもの あたしたち。







end.


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