空の誓い、海との約束
「シエルがシェリフだからよ」

「はあ?」

 思わず言ってから口を押さえた。ダグラスがこちらを睨んでいるような気がして、視界から老兵を追い出した。

 陛下は気を悪くした様子も無く、微笑んで同じ言葉を繰り返した。

「シェリフがシエルだったからよ」

 どういうことだろう。僕は真剣に考え込んだ。

 僕が、シェリフだったから。そんな大層な事しただろうか、シェリフを演じていた時に。

 時計の長針がほぼ一回りしていた。それまで黙していたダグラスがおもむろに口を開いた。

「陛下、そろそろ他の方との御歓談を」

「ああ、そうね。私はシエルと話せただけで十分なんだけど。はるばる来ていただいた以上、どの方にも礼儀は尽くさなきゃね」

 陛下はふわりと微笑んで立ち上がった。

 僕は答えの分からない疑問と何気なく陛下が口にした『シエルと話せただけで十分』という言葉にどぎまぎして一瞬パニックした。


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