空の誓い、海との約束
「シエル王子」

「な、何?」

 いきなり王子呼びされて僕は慌てた。何なんだ、調子が狂うじゃないか。

「お前にだけは言っておく。エミリア様の婿になるのは並大抵の覚悟では出来ない。恥も外聞も気にしない、ある意味自分を捨てる覚悟でなければ儀式に耐えられないだろう」

「ぎ、儀式?」

 どうして彼の話からそちらに話題が飛ぶのか分からない。けれど、ダグラスの眼は怖いくらい真剣だった。

「女王の伴侶となる者には、過剰なほどの儀式が課せられている。プライドの高い者には屈辱と思えるような儀式がな。だから歴代のレシュノルティアの女王は晩婚なのだ」

「はあ……」

 ダグラスの意図が読めないまま、僕は相槌を打つ。 

「どうしてそんな儀式があるの?」

 何気なく聞いた質問に、ダグラスはほんの少し呆れ顔をした。仕方ないじゃないか、分からないんだから。

「歴史を調べれば分かる。お前にその覚悟があるなら調べればいい」

「その覚悟って?」

「エミリア様の夫になる覚悟だ」

「おっ……」

 さらりと言われた言葉に、僕は一気に真っ赤になった。

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