空の誓い、海との約束
「なんだ。エミリア様が気に入らないのか」

「そ、そうじゃなくて」

「儀式の事を聞いて怖気づいたのか」

「違うってば!」

 むっとして睨み返す。と、ダグラスの真剣な視線が僕を射抜いた。

「一年ある」

「は?」

「夜会までに一年ある。お前ならそれまでに十分な答えを出せるはずだ」

 一年。たった一年で、僕は陛下に認めてもらえるような男になれるだろうか。

「……根拠、あるわけ?」

「エミリア様の眼に狂いは無い」

 どきっぱり言い切るダグラスに思わず吹き出した。親バカ、なんて言葉が浮かんだのは、二人の間に主君と側近以上の温かい何かを感じたせいかもしれない。

 ぬるくなった紅茶を一口含み、ダグラスはくいと眼鏡を上げた。

「まあ、リフだったらどんな儀式も難なくクリアしただろうけれどな」

「それって、僕にプレッシャーかけてる?」

 ふくれっ面で抗議すると、老兵は挑発的に笑った。


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